引っ越し前後のハウスクリーニング|入居前・退去時にプロを使うべき理由
退去時に15万円請求されそうになった話
9回目の引っ越しのとき、退去立会いで管理会社に「全室クリーニング代15万円」を請求されました。
「え、それは借主負担なんですか?」と聞くと「契約書に書いてあります」と言われ、その場で確認したら確かに特約に書いてあった。自分でプロのクリーニングを入れた証明書を見せて交渉を試みましたが、その場での大幅な値下げは難しく、結果的に7万円まで下げるのが精一杯でした。
この経験から学んだのは、「退去時に交渉しようとしても遅い」ということです。以降は入居前に契約書の特約を確認し、退去前クリーニングの領収書と作業報告書を必ず保存するようにしています。証拠を事前に揃えておくことで、次の引っ越しからは退去立会いをずっとスムーズに進められるようになりました。
そして12回引っ越しを重ねた今、「プロのクリーニングをどう使うか」で退去費用が大きく変わることを身をもって学んでいます。この記事では、その経験をもとに入居前・退去前クリーニングの考え方を整理します。
引っ越し時のクリーニングは2種類ある
入居前クリーニング(新居)
新居に引っ越す前に部屋をきれいにしておくもの。
「管理会社が入居前クリーニングをする」と言っていても、前の入居者が長く住んでいた物件はエアコン内部・換気扇・浴槽のエプロン内部などが汚れたままのことがあります。
わたしが8回目の引っ越しで入居した築10年のマンションでは、入居当日にエアコンをつけたら黒いカビのかたまりが吹き出してきました。管理会社の「クリーニング済み」はあくまでも表面の掃除で、エアコン内部は手つかずだったのです。そこから鼻炎が悪化して、翌月に自費でエアコンクリーニングを依頼する羽目になりました。
入居前に確認すべき場所:
- エアコンのフィルター・内部(カビ・ほこりの有無)
- 換気扇・レンジフード(油汚れ)
- 浴槽のエプロン内部(カビ・虫)
- キッチン排水口の周辺
- 洗濯機パン(前の住人の洗濯槽汚れが残ることがある)
特にエアコンは内部のカビが気になる場合、入居前にクリーニングしてもらうほうが確実です。入居後に依頼するより、家具を置く前の方が作業しやすく、料金も安くなるケースがあります。
退去前クリーニング(旧居)
退去時に「原状回復」として求められるもの。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、ハウスクリーニング費用は本来は貸主(大家)が負担するものとされています。ただし、契約書に「クリーニング費用は借主負担」という特約が明記されていて、借主がその内容を理解した上で合意している場合は、特約が有効となります(2020年施行の改正民法第621条でも、通常の使用による損耗は借主の原状回復義務の対象外と明記されました)。
実際には多くの賃貸契約にクリーニング特約が含まれているため、契約書の敷金・礼金の条件を含めて必ず確認してください。
借主負担が認められる範囲(過失・故意による損耗):
- タバコのヤニ・臭い
- ペットによる傷・臭い
- 結露を拭かなかったことによるカビ(善管注意義務違反)
- 鍵の紛失・破損
- 引っ越し作業中についた大きな傷(故意・過失)
借主負担にならない範囲(通常使用・経年劣化):
- 家具を置いていたへこみ・跡
- 日焼けによる壁紙や床の変色
- 自然消耗・経年劣化による損耗
- 通常の生活でつく小さな傷
「全部借主負担」として請求してくる管理会社も多いので、事前にプロクリーニングを入れて「やるべきことはやった」という証拠を作っておくのが有効です。
入居前・退去前チェックリスト
入居前(新居)にやること
- エアコンのフィルターと吹き出し口を目視確認
- 換気扇・レンジフードの油汚れ確認
- 浴室のカビ・排水口の状態確認
- キッチンコンロ周辺の汚れ確認
- 壁・床・窓のキズ・汚れを写真撮影
- 気になる箇所はすぐに管理会社へ報告(入居後でも証拠として残す)
退去前(旧居)にやること
- 退去予定日の1〜2か月前にクリーニング業者を予約
- 契約書の「特約」欄を確認(クリーニング費用負担の記載)
- プロクリーニングの領収書・作業報告書を保存
- 退去立会い前に全室を写真撮影
- 入居時の写真と比較して、故意・過失による傷がないか確認
- 敷金の精算内訳を書面で受け取る
プロに頼むべき場所
自分でできる掃除と、プロに任せた方がいい場所は違います。
| 場所 | 自分で | プロ推奨 |
|---|---|---|
| フローリング | ○ | △ |
| 換気扇 | △ | ○ |
| エアコン内部 | ✕ | ◎ |
| 浴室・カビ | △ | ○ |
| キッチン油汚れ | △ | ○ |
| トイレ | ○ | △ |
| 洗濯槽 | △ | ○ |
エアコンは分解しないと内部のカビは取れません。市販のスプレーは一時的な効果しかなく、噴射した薬液が内部に残るとかえって問題になることもあります。自分でやると壊すリスクもあるので、プロ一択です。
換気扇(レンジフード)もキッチンの油汚れが蓄積している場合、市販の洗剤では限界があります。特に退去時に「換気扇が汚い」と指摘されやすい箇所なので、プロに依頼しておくと安心です。
費用の目安(2024〜2025年現在)
以下は一般的な相場の目安です。業者・地域・汚れの程度によって変わります。
| サービス | 相場の目安 |
|---|---|
| エアコン1台(お掃除機能なし) | 8,000〜15,000円 |
| エアコン1台(お掃除機能付き) | 15,000〜22,000円 |
| 換気扇・レンジフード | 8,000〜15,000円 |
| 浴室 | 12,000〜20,000円 |
| キッチン | 10,000〜18,000円 |
| 1K・1DK全体(空室) | 20,000〜35,000円 |
| 1LDK全体(空室) | 28,000〜40,000円 |
まとめて依頼すると割安になることが多いです。また、引っ越しシーズン(3〜4月)は予約が取りにくく料金も高め。9〜10月の閑散期は予約が取りやすく、割引キャンペーンを実施している業者もあります。
複数業者に相見積もりを取ると費用を抑えやすくなります。くらしのマーケットやミツモアなどのマッチングサービスを使うと、複数の業者をまとめて比較できて便利です。
引っ越しタイミングで依頼する3つのメリット
1. 旧居と新居を同じ業者に頼める
「旧居の退去前クリーニング」と「新居のエアコンクリーニング」を同じタイミングで依頼すると、業者の出張費がまとまってお得になるケースがあります。わたしの場合、旧居の退去前クリーニングと新居のエアコン2台クリーニングを同じ業者にまとめて依頼したところ、2,000円ほど割引になりました。
2. 管理会社への交渉材料になる
プロに依頼した領収書・作業報告書を退去立会い時に提出することで、「やるべきことはやった」という証明になります。特に「クリーニング費用は借主負担」という特約がある場合でも、自分で手配したクリーニングの証拠があれば、「すでにクリーニング済みなので、同等の費用を二重請求しないでほしい」と交渉できます。
3. 新居で気持ちよく暮らせる
前の住人の使い方がわからない新居で、エアコンのカビを吸い続けるのはいやですよね。入居前に一度きれいにしておくと安心感が違います。特に花粉症や喘息などのアレルギーがある方は、エアコン内部のカビ・ほこりが症状悪化につながることがあるため、入居前クリーニングは特に効果的です。
退去立会いで注意すること
退去立会いのとき、管理会社や大家から提示される修繕費用の見積もりには、過大請求が含まれていることがあります。その場でサインを求められても、「持ち帰って確認します」と言って即サインしないことが大切です。
また、国土交通省のガイドラインでは、修繕費用は残存価値(耐用年数)に応じた負担割合が原則とされています。たとえば壁紙(クロス)の耐用年数は一般的に6年とされており、6年以上住んでいれば入居者の負担割合はほぼゼロに近くなるという考え方が示されています(実際の適用は契約内容や具体的状況によります)。
敷金の精算内容に納得できない場合は、国民生活センターや各都道府県の消費生活センターに相談することができます。
まとめ
引っ越し前後のクリーニングは、費用はかかりますが「敷金トラブルの防止」と「新居での快適スタート」という2つの価値があります。
特にエアコンと換気扇はプロに任せることをおすすめします。引っ越しのタイミングに合わせて早めに予約を取っておきましょう。
まとめると:
- 退去前クリーニングは「証拠を作る」ための投資と考える
- 入居前クリーニングは「エアコン」を優先する
- 費用はまとめて依頼すると割安になる
- 退去立会いでは即サインしない
- トラブルになったら消費生活センターへ相談する
Author
越野さや
@hikkoshi_lab無類の引っ越し好き。これまで3都道府県で12回単身引っ越しをし、総額引っ越し費用は500万円を超える。引っ越しによって人生を変えてきた。人生を変えるには住む場所を変えるべきと思っている派。