鍵の受け渡しと入居当日にやること|見落としがちな確認ポイント
入居当日を「ただ荷物を運ぶ日」にしないために
5回目の引っ越しのとき、入居当日に荷物の搬入と同時に部屋に入り、そのまま片付けを始めてしまいました。傷の確認も電気メーターの確認も何もせずに。
2年後に退去するとき、壁に「入居前からあったシミ」について修繕費を請求されました。「入居前からあった傷なので支払えません」と主張しましたが、証拠がなく、言い争いになりました。結果的に管理会社が折れてくれましたが、写真があればもっとスムーズに解決できたはずです。
入居当日は、引っ越し作業の疲れとワクワク感で「部屋の確認」が後回しになりがちです。しかし、この日に確認しておくことが、退去時のトラブルを防ぐ最大の対策になります。
入居当日の全体スケジュール
【午前中〜昼】
鍵の受け渡し
↓
入居前の部屋確認(傷・汚れの写真撮影)
↓
電気・ガス・水道のメーター確認
↓
設備の動作確認(水道・シャワー・コンロ・エアコン)
【午後〜夕方】
引っ越し業者の荷物搬入
↓
荷物の開封・片付け
↓
夜間:電気・ガスが使えるか確認
鍵の受け渡し:確認すること
受け取る鍵の本数を確認する
鍵の本数を確認し、契約書・重要事項説明書に記載された本数と一致しているか確認します。通常は2本以上渡されることが多いですが、本数が少ない場合は担当者に確認しましょう。
鍵の種類を確認する
渡された鍵が「玄関の鍵」のみか、「郵便受けの鍵」「宅配ボックスの鍵」「駐輪場の鍵」なども含まれているかを確認します。後から「鍵がもらえていない」というトラブルを防ぐためです。
合鍵の作成
後から「合鍵を追加で作りたい」場合、物件によっては大家・管理会社の許可が必要なことがあります。入居時に「合鍵を作成してもいいか」と確認しておきましょう。
入居前の部屋確認(最重要)
鍵を受け取ったら、荷物を搬入する前に必ず部屋の状態を確認し、すべての傷・汚れを写真・動画で記録してください。これが退去時のトラブルを防ぐ最大の対策です。
なぜ荷物搬入前に確認するのか
荷物が入ると、傷・汚れが「引っ越し作業でできた」のか「入居前からあった」のかの区別がつきにくくなります。荷物搬入前に部屋がガラ空きの状態で記録することが重要です。
確認・撮影すべき箇所
床
- フローリング・畳・カーペットの傷・染み・浮き・剥がれ
- 部屋の四隅・窓際・クローゼット内
壁
- クロス(壁紙)の汚れ・破れ・剥がれ・釘穴・シミ
- 壁全面を端から端まで確認する
天井
- 雨漏りの跡・シミ・カビ
- 照明器具の汚れ・破損
建具(扉・窓)
- ドアの傷・変形・鍵の動き
- 窓のクラック・サッシの状態
- クローゼット扉の開閉
水回り
- キッチンシンクの傷・錆・コーキングの状態
- 浴室の汚れ・カビ・コーキングの剥がれ
- トイレの汚れ・便器の状態
- 洗面台の傷・排水の状態
その他
- エアコンのカビ・汚れ(フィルター含む)
- 換気扇の汚れ
- 設備(給湯器・インターホンなど)の状態
写真・動画の撮り方のポイント
- 全体の写真と、傷・汚れのアップ写真の両方を撮る
- 日付・時刻が記録される設定にする(スマホのカメラは自動でメタデータに記録される)
- 傷の大きさを示すために、定規やカード(クレジットカードなど)を傍に置いて撮ると比較しやすい
- 動画で部屋全体をぐるりと撮影しておくと万全
記録した写真・動画の保存
撮影した写真・動画はクラウドストレージ(Google Photos・iCloudなど)に保存しておきましょう。退去時(2〜3年後)に端末が変わっていても確認できるようにするためです。
設備の動作確認
入居当日に設備が正常に動作するか確認し、問題があれば即座に管理会社に連絡します。「入居後すぐに連絡した問題」は貸主負担で修繕されやすいですが、時間が経つほど「入居者の過失か」という疑いが生じやすくなります。
水道の確認
- キッチン・洗面所・浴室の蛇口から水が出るか
- シャワーの水圧は十分か
- トイレは正常に流れるか
- 排水に詰まり・異臭がないか
電気の確認
- ブレーカーを上げて、各部屋の照明が点くか
- コンセントに電気が来ているか(スマホの充電器で確認)
- エアコンが動くか(冷房・暖房・風量調整)
ガスの確認
ガスは初日に「ガス会社への開通申し込み」が必要です。引っ越し前に事前にガス会社に連絡し、入居日にガス会社のスタッフが立ち会いの上で開通作業を行います(多くの都市ガスの場合)。
立ち会いのもとでコンロ・給湯器・風呂の着火を確認します。
その他の設備確認
- インターホンの動作
- オートロックの動作
- 宅配ボックスの動作・使い方
- 浴室乾燥機・換気扇の動作
- 追い焚き機能の動作
電気・ガス・水道のメーター確認
入居時のメーター数値を記録しておきましょう。退去時に「使用量をごまかされた」というトラブルを防ぐためです。
確認・記録する項目
電気メーター
- 場所:玄関横または建物外側に設置されていることが多い
- 確認内容:数値を写真撮影
ガスメーター
- 場所:玄関横・建物外側のメーターボックスの中
- 確認内容:数値を写真撮影
水道メーター
- 場所:玄関前の床の蓋の中が多い
- 確認内容:数値を写真撮影
入居当日のライフライン手続き
電気
電力会社への使用開始の連絡は、引っ越し前に済ませておくのが理想です。当日は事前に連絡した会社のブレーカーを上げるだけで使用できます。電力会社を選びたい場合は、引っ越し1〜2週間前に手続きを済ませましょう。
ガス
都市ガスは開通に立ち合いが必要です。引っ越し1〜2週間前にガス会社に連絡し、入居日に開通作業を予約しておきましょう。プロパンガスは管理会社が指定のガス会社と契約しているため、管理会社を通じて手続きします。
水道
水道は引っ越し後に市区町村の水道局に「使用開始の連絡」をします。電話・インターネット・窓口で手続きできます。地域によっては自動的に開通している場合もあります。
インターネット回線
インターネットの開通工事は申し込みから1〜3週間かかることが多いです。引っ越し日に使えるよう、引っ越しの1ヶ月前に申し込み手続きを始めておくことをおすすめします。
荷物搬入時に気をつけること
搬入時の傷に注意する
引っ越し業者の荷物搬入時に、廊下・玄関・壁に傷がつくことがあります。業者に任せているとはいえ、搬入後に確認することが必要です。
業者起因の傷は業者の保険で対応してもらえる場合がありますが、確認が遅くなると「誰が付けた傷か」がわかりにくくなります。搬入終了後すぐに廊下・玄関・壁を確認しましょう。
大型家具・家電の搬入場所を事前に決める
「ここに置こうと思っていたが、壁のコンセントが届かない」「冷蔵庫を置きたい場所に換気の問題がある」というトラブルを防ぐために、搬入前に各家電・家具の置き場所を決めておきましょう。
入居当日の管理会社への連絡リスト
入居当日に気づいた問題は、当日か翌日までに管理会社に連絡しましょう。
連絡すべき内容の例
- 設備の不具合(水が出ない・コンロが着かない・エアコンが動かない)
- 入居前からの傷・汚れで申告が必要なもの
- 鍵の本数が足りない
- 清掃状態が不十分
「入居当日に報告した問題」は、貸主・管理会社の対応義務が明確になりやすいです。
まとめ:入居当日の3大タスク
12回の引っ越しで身についた「入居当日に必ずやること」をまとめます。
タスク1:荷物搬入前に部屋全体を写真・動画で記録する
退去時のトラブルを防ぐ最大の対策です。10〜15分かければ十分できます。
タスク2:すべての設備の動作確認をする
入居直後に発見した不具合は貸主負担で修繕されやすいです。水道・ガス・電気・エアコンを全部チェックしましょう。
タスク3:メーターの数値を撮影・記録する
電気・ガス・水道のメーター数値を記録しておくことで、使用量に関するトラブルを防げます。
入居当日は引っ越し作業で疲弊することが多いですが、この3つだけは荷物を運び込む前に必ず終わらせてください。2〜3年後の退去時に、その10〜15分が大きな意味を持ちます。
Author
渡邊悠介
12回の引っ越し経験者。引っ越しの失敗と成功を繰り返してきた。その経験をもとにリアルな情報を発信中。